東日本大震災
もう一つ、書いておきたいことがあります。
今日は、東日本大震災から、10年目です。もう10年も経ったのかという思いです。
あの年、3月25日に関西、四国・中国、九州地区ピアノ科の卒業式が控えていました。私は、ピアノ協奏曲の指揮を依頼されていて、プログラムの最初に、祝賀演奏をする事になっていました。
震災の報を聞き、まず思い浮かんだのは、阪神・淡路大震災です。
あのとき、日が経つにつれ、被害の大きさが報道されてきたことを思い出しました。
この状況で、祝賀演奏なんてしている場合なのかと思いましたので、翌12日にピアノ科に祝賀演奏をやめて、バッハのアリアを演奏したいと申し出ました。でも、ピアノ科にとっては、大切なお祝いのコンサートです。却下されました。
13日には、練習があり、ピアノ協奏曲とともに、祝賀演奏の曲も練習しました。
帰宅して、やはり、バッハのアリアに差し替えたいと申し出ました。流石に、報道によって、悲惨な現実が明らかになってきましたので、ピアノ科もOKしてくれました。
あの時、世界中の音楽関係者が、自分たちに出来ることは何なのか?と自問自答されたと思います。私としては、このくらいのことしか出来ないことに歯がゆさを覚えつつ、演奏させていただきました。
10年経って、テレビで特集番組を見ていて、再度、その感を強くしました。
逆境にあっても、音楽の力は感じますが、平安な心で、音楽が楽しめる日を切望しています。