CDを聴いていただくこと(その1)
ご存知の様に、鈴木先生の教本には、CDが付いています。
曲はイ長調から始まっています。
まずA線を弾いて、E線を弾くと、キラキラ星の出だしが弾けてしまいます。
鈴木先生は最低限の音で、子供達に「ヴァイオリンが弾けた!」という感激を経験してもらうべく、イ長調でのキラキラ星を最初に持って来られました。
母語と同じで、文字を覚えてから習得するのでは無く、まず音からということで、今はCDですが、昔のことですからレコードを聴いて、その曲を知っている状態から弾けるようにと考えられました。
メカニズムとしては、CDを聴いてどんな曲か知っている状態から、次に、覚えた指番号でその曲を弾けることになります。
弾けるようになったら、CDと合わせて弾いて、音の間違いや、音の長さをチェックして頂く事になります。
でも、一緒に弾くことの意味は、それだけではありません。
あるヴァイオリニストの方は、その自伝の中で、最初に弾けるようになった曲を、お母様のピアノと合わせたときの感激を書いておられます。
その経験は、生まれて初めてのもので、あまりの感激に、「もう1回、もう1回」と何度も何度もせがんだそうです。
お母様がピアノを演奏出来るとは限りませんから、CDと一緒に弾くことが多少なりともその経験になってくれます。
そこで、お母様(お父様)が、「素敵だね」とフォローして下さることが必要です。
例えば、美味しい御料理でも、「これ美味しいから食べてみて」と言われる方が「これ美味しくないけど食べてみて」と言われるより良いと思いますから。